高級店・割烹料亭における分煙対策方法

改正健康増進法も全面施行され、ますます受動喫煙対策に注目が集まっている昨今。飲食店は原則屋内禁煙となりました。高級店・割烹旅館においても、分煙対策促進への取り組みが行われています。中には既に全館禁煙に切り替えた店舗や、分煙対策を徹底している店舗も存在します。

喫煙者のお客様もお迎えする高級店・割烹料亭では、どのような受動喫煙対策が行われているのでしょうか。また高級店・割烹料亭を使用するお客様から、分煙にはどの程度需要があるのでしょうか。今回の記事では、それらの実情を確認していきたいと思います。

 観光客の口コミからみた分煙の需要

高級店・料亭は国内外を問わず、観光客からも高い需要を誇っています。世界最大級の旅行コミュニティサイトである「トリップアドバイザー」では、実際に利用したお客様からの口コミが多く寄せられています。今回は数ある口コミの中から、分煙・受動喫煙対策について触れられたものをピックアップしてみました。

・東京、東京23区のユーザーより

分煙対策がなく、煙草をすっている客の煙に悩まされたのと、室内に内扉がないせいで、入り口から寒さを感じるのが残念だった。

https://www.tripadvisor.jp/ShowUserReviews-g298227-d7449124-r255911656-Oshima-Saga_Saga_Prefecture_Kyushu.html

・スペイン、マラガのユーザーより

カウンター席に座ったのですが、まさかの喫煙席…。分煙もしない全席喫煙席のお店なのかは確認しませんでしたが、せめてカウンター席は禁煙にして欲しかったです。せっかくの美味しいお食事がタバコの煙で台無しでした。お食事は美味しかっただけに残念!

https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g298173-d3876317-Reviews-Irikase-Yokohama_Kanagawa_Prefecture_Kanto.html

口コミの結果

このように国内外を問わず、タバコの煙に悩まされるお客様の声が散見されます。高級店・料亭における分煙のニーズは高いと言えるでしょう。分煙対策が不徹底では、せっかくの料理やおもてなしの空間も、台無しになってしまいかねません。

一方で全面禁煙にすれば良いかというと、疑問も残ります。高級店・割烹料亭では、タバコを吸う人も吸わない人も訪れるかと思われます。中には喫煙者のお客様を、多くお迎えするお店もあるでしょう。最近では、既に完全禁煙を行っているお店も存在します。けれど全面禁煙にしてしまうと、喫煙者のお客様を遠ざけてしまう可能性もありますよね。

しかし分煙化することにより、喫煙者/非喫煙者の双方が快適に過ごせる空間が提供できます。禁煙スペースに煙が漏れない喫煙スペースを設立すれば、タバコを吸う人も吸わない人も、今までと変わらずお迎えできるでしょう。さらに全面禁煙に踏み切るお店が存在する中で、喫煙できるお店を探している喫煙者の利用増加も見込めるかもしれませんよ。

分煙対策でお料理の魅力を最大限に発信

分煙化には、飲食物を提供するお店ならではのメリットも存在します。それは料理の魅力を最大限にお伝えできるというメリットです。タバコの煙は、料理のなかでも重要な香りを奪ってしまいます。そのため料理の魅力を著しく損なってしまう可能性があることをご存知でしょうか。店内にタバコの臭いがすることで、せっかく来店してくれたお客様が料理をおいしくないと思ってしまうかもしれません。

高級店・割烹料亭ほど、繊細な味や香りにこだわっているかと思われます。タバコが自由に吸える環境だと、料理のおいしさを最大限にアピールすることが難しい側面もあるでしょう。しかし分煙対策を徹底すれば、タバコの煙の影響を受けない環境で料理が提供できます。お客様は料理本来の味や香りを、最大限に楽しむことができますね。

人間の味覚は、舌だけでなく臭いも大きく関係しています。たとえば風邪で鼻が詰まっている時など、食事をしても味が分からない時はありませんか?タバコも煙も同様の状況をもたらしかねません。料理が持つ本来の魅力をアピールするためにも、分煙対策を徹底してください。

高級店・割烹料亭におすすめの分煙対策

全国31都道府県に存在する料理業生活衛生同業組合の全国組織である、「全国料理業生活衛生同業組合連合会(以下、全料連)」。全料連では料亭・料理店における受動喫煙防止対策として、さまざまな対策が進められているようですね。

全料連主催で開催される大会や、理事会・ブロック会議では、料亭・料理店における受動喫煙防止対策に関する周知が徹底されています。加盟組合員に多く見られる特徴として、お客様から事前に予約を受けて利用してもらう営業が挙げられます。電話予約を受ける際には、店内の喫煙環境を説明するように徹底されています。またホームページ内においても、「料亭・料理店の検索」ページでは、店舗詳細内に喫煙環境マークを表示して環境が分かるように設定されています。こうした取り組みを通して、意図しない受動喫煙防止が取り組まれているのが分かりますね。

一方で加盟組合員の料亭・料理店で受動喫煙防止対策を推進するには、個々の実情に応じた対策と設備投資が必要となります。そこで厚生労働省の助成制度や、JT分煙コンサルタントと協力して、受動喫煙防止対策の推進が図られているようです。

また実際に高級店・割烹旅館で行われている、おすすめの分煙対策の事例についても見ていきましょう。

ホテル椿山荘東京の料亭「錦水」の分煙対策

ホテル椿山荘東京は、日本有数のラグジュアリーホテルとして、国内外を問わず根強い人気を誇っています。同ホテルではおもてなしの一環として、料亭「錦水」のロビー内に喫煙専用スペースを設置するなど、積極的な分煙環境整備を行いました。

料亭「錦水」のロビーには、喫煙専用スペースが設置されています。従来の設計を活かした上で、ロビーに馴染みやすいデザインが導入されているのも特徴の一つです。案内がなければ喫煙専用スペースとは分からないほど、ロビーの景観に馴染んでいるようですね。また喫煙者のお客様が庭園の風景を楽しめるよう、工夫もなされています。さらに庭園側からは喫煙する姿が見られないように設計されているので、喫煙者/非喫煙者どちらも快適に過ごせるでしょう。

さらに分煙対策で重要なのが、タバコの煙やニオイの問題です。料亭「錦水」では、中に入った時にもほぼタバコのニオイを感じません。中で過ごすお客様の快適性を重視して、計算された換気機能が実現されています。これは今後分煙対策を考えているあらゆるお店や施設で、参考にしたい事例であると言えるでしょう。

まとめ

全国的に受動喫煙防止に向けて意識が高まる昨今。喫煙者のお客様もお迎えする高級店・割烹料亭でも、大きな課題であると言えます。

近年では全面的な禁煙を進める動きが目立ちます。しかし禁煙ではなく分煙対策を推進する方が、既存の喫煙者のお客様を遠ざけずに済みます。さらに喫煙スペースがあるお店を探している喫煙者のお客様を獲得できるかもしれません。一度でも利用してもらえれば、リピーターになってくれる可能性もありますよね。お店全体の収益アップに繋がる可能性もあるでしょう。行き届いた分煙は、タバコを吸う人も吸わない人も、快適に過ごせる空間が提供できます。タバコが苦手な人の迷惑にもならないでしょう。

一方で分煙対策には、喫煙スペースの設置などで費用がかかることがネックとして挙げられます。しかし国の助成金や地域自治体の補助金も利用できるので、コストはかなり抑えられますよ。この機会に、分煙対策を進めてみてはいかがでしょうか。