第二種施設において屋外喫煙所を設置する際の注意点

4月1日に改正健康増進法が施行されたことにより、飲食店やオフィスなどの第二種施設においては原則屋内禁煙となりました。しかし、喫煙者にとってはたばこを吸う場所がなくなってしまうことで肩身の狭い思いをしたり、清掃側からするとポイ捨てが増えてしまうのではといったり、不安や懸念点は尽きません。
それらの対策として屋内に喫煙室を設けるにはスペースが足りないものの、屋外であれば喫煙所を設置することができそうだとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、第二種施設において、屋外喫煙所を設置する際の注意点についてまとめます。
目次
灰皿設置ではなく、喫煙所を設置するとは
第二種施設における屋外への灰皿設置については、現状で飲食店のテラス席を除き、特に規制がないと他の記事でもご説明してきました。
基本的に出入り口から何メートル離れなければならないなどの条件や、法的に取り締まられるなどの規制はないものの、厚生労働省の発表では『第二種施設や路上などの屋外であっても、子供など受動喫煙により健康を損なう恐れが高い人が多く利用する施設については、第一種施設と同様に、敷地内禁煙の措置を講ずることが望ましい』と記されています。
とはいえ、居酒屋や喫茶店、パチンコ店など、比較的喫煙者の来店が多いお店にとっては敷地内をすべて禁煙とするのは難しいはずです。ポイ捨て問題なども深刻化することも予想されるでしょう。そしてその対策として単に屋内との分煙として灰皿を屋外に設置するものの、屋内に煙が流れ込んでくるという可能性もあります。
そこで推進したいのが、屋外への喫煙所の設置です。
単に灰皿を設置するわけではなく、屋内への設置と同様の技術的基準をクリアした喫煙所を設置することで、しっかりと分煙を行うことができるでしょう。
屋外にも最適な分煙ボックス
分煙ボックスは、分煙機などとよばれ、電話ボックスのようなパーソナルボックスの中に灰皿が設置されており、空気の清浄化や煙の排出などの技術的基準をクリアした状態で商品化されたものです。
屋内での分煙で利用される店舗もありますが、屋外でも設置することができます。
技術的基準について
JTの見解によりますと、基本的には屋外の喫煙については煙が外気にさらされるため、ある程度薄まるとされています。しかし、灰皿をお店の出入口などに設置しては意味がありませんよね。もっとも、屋内での喫煙室の設置についても、非喫煙者の動線になる部分、いわゆるレジやお手洗いなどに利用する動線上には設置ができないことになっています。
屋内への喫煙室の設置における技術的基準は下記になります。
①出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が、0.2m/秒以上であること
⇒喫煙専用室、指定たばこ(加熱式)専用喫煙室ともに要件は同一
②たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること。
⇒「壁、天井等」とは、建物に固定された壁、天井のほか、ガラス窓等も含むが、たばこの煙を通さない材質・構造のものをいうこと。
③たばこの煙が屋外又は外部の場所に排気されていること
屋外への喫煙所設置については法的基準や条件はないものの、非喫煙者の動線になる部分に設置する場合は、これらの技術的基準を屋内同様クリアするのが望ましいということです。
分煙ボックスであれば条件クリア済み
特に出入口等に灰皿を設置した場合では、到底受動喫煙を防止することは難しいでしょう。区画や屋根などを設置しても、屋外という性質上風向きによっては煙がダイレクトに非喫煙者に向かってしまうこともあるのです。
環境に左右されやすい状況にある分、分煙ボックスであればしっかりと技術的基準をクリアした状態ですのでそのまま設置するだけでしっかり分煙を行うことができます。
喫煙者にとっても、雨の日も晴れの日もどちらの場合でも快適に喫煙をすることができるでしょう。
屋外に喫煙所を設置する際の注意点
屋外に分煙ボックスを設置することにより、簡単に受動喫煙対策を行うことができるのですが、いくつか注意点があります。
喫煙所を示す標識を掲示しなければならない
まずは、屋内ではすべてのフロアにおいて禁煙であることを、店舗等の出入口にきちんと掲示しなければなりません。標識については、掲示していなかったり、見えにくかったりした場合も注意や処罰の対象になることがありますので注意しましょう。
続いて上記の画像が、喫煙場所を示す標識になります。こちらについても、特定の喫煙場所、分煙機などに掲示することで、お客にわかりやすく情報提供することができます。
ただ、分煙ボックスを設置する場合は、分煙ボックス自体に標識が印刷されている場合などもありますので確認してみてください。
屋外でも20歳未満は立ち入り禁止
たとえ屋外への分煙ボックス設置、喫煙所の設置においても、清掃やサービスなどで20歳未満の方は立ち入ることはできません。
20歳未満の方を立ち入らせた場合は、お店のオーナーが責任を問われることとなりかねませんので注意しましょう。
中には屋外設置に対応していない分煙ボックスも
多くの分煙ボックスの場合、屋内外に対応しておりますが、場合によっては屋内への設置のみに対応している場合があります。
分煙ボックスを設置を屋外に設置する旨をしっかり業者に伝えて、後々トラブルが起こらないよう、注意が必要です。
まとめ
今回は、屋外への喫煙所設置について解説を行いました。屋外であっても出入口付近に灰皿を設置するだけでは、せっかく屋内でしっかり禁煙の措置をとっていたとしても意味がありません。
出入口はお店にお客を迎え入れたり、見送ったりする大切な場所です。クリーンな空気で非喫煙者にも喫煙者にも気持ちよく来店してもらい、再来店したいと感じてもらえるような施設作りが大切なのではないでしょうか。
分煙ボックスの設置に関するおといあわせについては、下記の相談フォームからも随時受け付けております。屋内外問わず、分煙についてお困りの方は下記からお気軽にお問い合わせください。