改正健康増進法による全面禁煙について喫煙者はどう思っている?

2020年4月、改正健康増進法が全面施行されました。この改正により飲食店やオフィスなど、屋内は原則禁煙となります。オフィスにおいては、今までも喫煙所を設けるなど分煙対策を取っていたところも多いかと思われます。しかし今回の施行では分煙の条件がより詳しく定められました。改正健康増進法の基準を踏まえた上で、オフィスの分煙状況を見直していかなければなりません。そこで今回は企業における分煙状況、分煙対策、需要などについてまとめてみました。

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オフィスの喫煙状況と分煙の需要

国内最大級の企業情報データベースを保有する株式会社帝国データバンクは、定期的に企業における喫煙に関する意識調査を発表しています。2020年3月24日に発表された調査結果によると、有効回答企業1万704社が回答した最新の喫煙状況は以下のようになっています。

全面禁煙 26.2%
完全分煙 53.9%
不完全分煙 8.9%
時間割分煙 3.3%
特に喫煙制限は設けていない 6.3%
分からない 1.4%

ちなみに2017年10月16日に発表された同調査では、以下のような結果が出ました。

全面禁煙 22.1%
完全分煙 56.2%
不完全分煙 10.0%
時間割分煙 3.4%
特に喫煙制限は設けていない 7.3%
分からない 1.0%

このように2017年の調査結果と比較すると、「全面禁煙」のオフィスが4.1ポイントも増えていることが分かります。また「不完全分煙」「時間割分煙」「特に喫煙制限は設けていない」といった割合が低下しています。

さらに主要事業所における「全面禁煙」の割合を見てみましょう。規模別にみると、規模が小さい企業ほど全面禁煙を実施している割合が高いことが分かりました。業界別で全面禁煙の割合が高い上位5位は、以下のようになっています。

1 金融 47.5%
2 不動産 46.6%
3 サービス 39.3%
4 卸売 31.0%
5 小売 28.7%

 全体的な傾向として、従業員との距離が近い職場や、顧客と接する機会が多い業界で高水準が目立ちました。地域別では「南関東」が 33.7%、「近畿」が27.7%と、大企業を多く抱える地域ほど全面禁煙が実施されている傾向にあります。

オフィスにおける分煙対策状況

オフィスにおける喫煙状況を「全面禁煙」「特に喫煙制限は設けていない」「完全分煙」に分けて見てみましょう。

 全面禁煙

全面禁煙を実施している企業では、主に従業員の健康を意識した取り組みの声が多く見受けられます。一部を紹介すると、以下のような意見が寄せられていました。

・「反発もあると思うが、健康第一のため喫煙場所の撤去と営業車内の喫煙も禁止した」(機械工具卸売)

・「保健所の指導もあり、健康事業所宣言を行い、全館禁煙とし喫煙できないようにしている」(信用協同組合)

・「毎年禁煙キャンペーンを行って喫煙率を下げる活動をしている」(ガソリンスタンド)

特に喫煙制限は設けていない

喫煙制限を設けていないと回答した企業も見受けられました。こちらでは以下のような意見が寄せられています。

・「基本的に一人作業が多いため、現時点で対応はない」(土木工事)

 一方で今後、受動喫煙対策に取り組むのに前向きな声も寄せられていました。

健康増進法の改正により、これまで分煙対策に積極でなかった企業も前向きに検討し始めています。

・「今までは特に対策をしていなかったが、改正健康増進法に基づき、喫煙専用室設置を考えて実行する」(給排水・衛生設備工事)

・「業務的(トラック運転手)に喫煙率が高いため対策に苦慮しているが、一定の理解をしてもらい、今後は完全分煙に向けて準備を進める」

(一般貨物自動車運送)

 完全分煙

分煙が行われている企業では、どのような対策が取られているのでしょうか。一般的にオフィスで実施できる分煙対策方法を紹介します。

 屋外分煙

屋内を原則禁煙にして、屋外に喫煙所を設置するパターンです。以前は灰皿を置くだけというケースもありましたが、近年では今まで以上に分煙に関する法や条例の整備が進められています。そのため屋外でも、受動喫煙防止に配慮した喫煙所の設置が求められています。

 屋内分煙

屋内分煙では、以下のようなパターンが一般的であるとされます。

1.個室化分煙

喫煙専用室を設けて、壁で完全に仕切る方法です。改装工事が大掛かりになるので、コストや手間がかかるというデメリットがあります。飲食・会議等、喫煙以外の行為は不可で、以下の条件を満たす必要もあるので覚えておきましょう。

【条件】

・出入口の風速を毎秒0.2m以上確保する

・たばこの煙が漏れないように壁・天井等によって区画する

・たばこの煙を屋外に排気する

・施設の出入口および喫煙専用室/加熱式たばこ専用喫煙室に法令により指定された標識の提示する

喫煙室を設置する際の技術的基準とは?適切な基準を知って効果的な分煙対策をしよう

2.分煙ボックス、分煙キャビン

こちらは室内に喫煙スペースとなる分煙ボックスや、分煙キャビンを設置する方法です。内部にはタバコの煙やニオイを除去してくれる設備が整っているので、喫煙者/非喫煙者双方に快適な空間を提供してくれるでしょう。基本的にスペースと電源さえ確保できていれば、お好きなスペースに設置できます。喫煙専用室を作るために新たな部屋を用意する必要がなく、大掛かりな工事なども必要ありません。すぐに設置でき、受動喫煙対策とコストの抑制を両立してくれます。

分煙機の比較と、選ぶときのポイント

オフィスを禁煙にすると業績に不安も?

帝国データバンクの調査では、改正健康増進法の全面施行による業績の影響も調べられています。改正法や条例の施行による業績への影響では、以下のように回答されていました。

影響はない 56.4%
マイナスの影響がある 12.9%
分からない 28.7%
プラスの影響がある 2.0%

 

回答では「影響はない」が56.4%で半数を超えています。一方で「マイナスの影響がある」と回答した企業を業種別に見てみましょう。

1 旅館・ホテル 39.3%
2 飲食店 36.2%
3 娯楽サービス 35.1%
4 人材派遣・紹介 32.3%
5 飲食料品小売 28.1%
6 家電・情報機器小売 26.3%
7 運輸・倉庫 24.1%
8 各種商品小売 20.8%
8 パルプ・紙・紙加工品製造 20.8%
10 輸送用機械・機器製造 20.0%

 

上位3位はサービス業が占めており、続いて顧客と接する機会が多い業種が食い込んでいます。「マイナスの影響がある」と回答きた企業からは、以下のような悩みの声が多く届けられています。

・「対応するために莫大な費用がかかる」(旅館)

・「対応にあたって設備の設置・改善・改修等の費用や時間が必要となる」(石油卸売)

・「改装費用がかかる一方で、売り上げが減少してしまう」(貸事務所) など

 業界を問わず、設備投資費用を懸念する意見が多いようですね。一方で家具・建具卸売業界では「飲食店における喫煙ブース設置による改装需要が発生している」といったプラスの意見もあがっています。

 まとめ

今回はオフィスの分煙対策状況と、分煙の需要についてお伝えしました。

オフィスにおける分煙対策方法

過去に行われた喫煙に関する意識調査と比較すると、現在では禁煙・分煙に対する意識や感心が高まっています。現時点は特に喫煙制限を設けていない企業でも、今後を考えると分煙対策に前向きな意見が多く見受けられました。2020年4月1日からは改正健康増進法が全面施行されたことにより、今後ますます受動喫煙対策は進められていくと予想されます。

一方でオフィスを全面禁煙にすることで、業績にマイナスが出るのではないかと懸念の声もあげられています。喫煙所や喫煙専用室を設ける場合も、低コストですぐに設置できる分煙ボックスも登場しています。これから分煙対策を検討されている企業は、分煙ボックスなどを最大限利用して、コストを抑えつつオフィスの分煙化を図ってください。

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