改正健康増進法と、東京都の受動喫煙防止条例の違い

飲食店をはじめ、多くの店舗に影響を及ぼすとされている改正健康増進法は、今年の4月1日に施行されました。また、東京都などのように受動喫煙防止条例を独自で施行している地域もあります。特に東京都は、国が定める方針よりもさらに条件等が強く、受動喫煙対策を強いられる店舗も多いようです。
とはいえ、現在は、コロナウイルスの影響もあり営業を自粛している店舗も多い為、この法令の影響がどれだけあったか判断がつきにくい部分もあるでしょう。
どうにかコロナウイルスが収まるまでに、対策をしておきたいところですが、今回は、再度、改正健康増進法の内容と、東京都の受動喫煙条例の違い等について詳しくご解説していくことといたします。
目次
全国では約45%、東京では約84%の飲食店が規制の対象に
東京都の受動喫煙防止条例は、2018年6月に、国の改正健康増進法は同年7月に成立しました。どちらも同様に、今夏開催予定であった東京オリンピック、および東京パラリンピックに対応するためです。そのためか、東京都の条例は、国の法律よりも規制内容が厳しくなっています。まずは飲食店に関する部分から違いについて見ていきます。
国の改正健康増進法 | 東京都の受動喫煙防止条例 | |
規制内容 | 原則屋内禁煙 (喫煙室のみ喫煙可) |
同左 |
喫煙室での規制 | ・飲食提供不可 ※加熱式たばこ専用室、喫煙目的のバーやスナック、既存特定飲食提供施設では飲食提供可 ・設備の技術的基準に適合 (屋外排気、煙の流出防止など) ・20歳未満の入室不可(従業員含む) ・喫煙室に、喫煙室の種別と20歳未満の立入禁止を示す標識の掲示 ・店頭などの施設に、喫煙室があることを示す標識の掲示 |
同左 |
規制の対象外となる条件 ※全てを満たす必要あり |
・客席面積100m2以下 ・資本金5000万円以下 ・既存店(2020年3月31日までに開業) <全体の55%程度が該当> |
・客席面積100m2以下 ・資本金5000万円以下 ・既存店(2020年3月31日までに開業) ・個人や家族経営などで従業員がいない <全体の16%程度が該当> |
罰則(過料) | 施設管理者:50万円以下 喫煙者:30万円以下 |
施設管理者:5万円以下 喫煙者:5万円以下 |
規制内容や、喫煙室の設置にかかる条件などは変わらないものの、規制の対象となる店舗、いわば禁煙もしくは分煙の措置を取らなければならない店舗は国の法律の場合は、日本全国の飲食店のうち45%であるのに対して、東京都の条例ですと、東京都内の飲食店の84%が該当することになります。
国の法令では、従業員の有無が規制の対象ではないのに対して、東京都の条例では規制の対象である面が一番の相違点であるといえるでしょう。これにより、39%もの差が出ているということが理解できます。
罰則に関しては、東京都の場合は東京都の条例基準に満たしていなかった場合は、上記の金額を、さらに国の基準も満たしていなければ、双方に支払う必要があるということです。
屋内で喫煙を可能にするには
とはいえ、飲食店であれば居酒屋や喫茶店など比較的喫煙客が多い店舗もあるはずです。それらの居酒屋や喫茶店が、小規模且つ従業員を雇っておらず、マスター一人、もしくは家族経営などであれば、東京都内でも喫煙可能店の申請を行えば、これまで通りに喫煙を認めることができるのですが、それ以外の店舗はすべて禁煙、もしくは分煙の措置を取らなければなりません。
ちなみに喫煙可能店の申請に関しては下記の記事に詳しく解説しておりますのでご覧ください。
もし、屋内での喫煙を考えているのであれば、下記の二つの方法のどちらかを選択する必要があります。
①加熱式たばこ喫煙室を設置する
②完全分煙とする
①加熱式たばこ喫煙室を設置する
加熱式たばこは、通常の紙巻きたばこと比べると、害が少ないと認識されています。ですので、加熱式たばこ喫煙室を設置することで、お客はこの場所であれば屋内で喫煙をすることができます。この時、飲食物の提供など、喫煙以外のサービスを行うことも可能です。
②完全分煙とする
ここでいう、完全分煙とは喫煙専用室を設置して、加熱式たばこも紙巻きたばこも双方同様に、喫煙者のためのエリアを構築することです。
その方法には、お店の中の一角を改装して、喫煙室を新たに設置する方法と、分煙ボックスと呼ばれる電話ボックスのようなパーソナルボックスを設置するという2つの方法があります。ただ、この場合に、喫煙者は加熱式たばこを喫煙していたとしても、このエリアでは喫煙以外の行為を行うことはできません。もしここで飲食などを提供するなどの行為が行われた場合は、罰則の対象となりますので注意が必要です。
雨の日などに飲食店に訪れた際も、喫煙者にとって屋内で喫煙ができるというのは重要なポイントとなることでしょう。
喫煙室を設置したら看板の設置も必須
また、分煙などで喫煙室を設置した場合や、喫煙可能店の申請をした場合など、屋内で喫煙ができる場合は、必ず、喫煙スペースがあることを示す看板を設置しなければなりません。
この看板が見えにくかったり、そもそも掲示していなかった場合なども罰則の対象となりますので、注意しましょう。
看板については下記の記事にて詳しく解説しております。
分煙対策くんにご相談を
今回は、国が定めた法律、改正健康増進法と、東京都の条例である受動喫煙防止条例の違いと、双方において屋内で喫煙を可能にするときの注意点などをまとめました。
特に、現在はコロナウイルスの影響で営業を自粛している店舗も多いかと思いますので、この休業期間に分煙対策を施すのも一つの手です。特に、飲食店はアフターコロナに開催される国を挙げた経済対策、Gotoキャンペーンの対象でもありますので、規制対象の店舗は今のうちに分煙対策をしておきましょう。