効果的な分煙対策を行うための注意点

2020年4月から全面施行される健康増進法の改正法により、飲食店においても原則屋内禁煙となります。

これを受けて、店内を喫煙スペースと禁煙スぺ―スに分けようと考えているけれど、どのように仕切ったらいいのか分からないという飲食店事業者の方も多いのではないでしょうか。

このページでは、飲食店内における分煙エリアの仕切り方や、分煙時に注意すべき法律について紹介しています。ぜひ分煙対策の参考にしてみてください。

分煙エリアの仕切り方

飲食店内での喫煙スペース・禁煙スペースの仕切り方は、エリア別に仕切るのが一般的です。

・カウンター
・個室
・座敷
・小上がり
・ホール

上記のエリアごとに分煙基準を満たすよう仕切ることで、飲食店内を分煙にすることができます。

分煙基準を満たすための3つのポイント

飲食店内をエリア別に分煙するためには、以下の3つの分煙基準を満たす必要があります。

  1. 仕切り→たばこの煙が流出しないように、喫煙区域と喫煙禁止区域との境界に仕切りの設置が必要
  2. 排気設備→喫煙区域から出たたばこの煙を屋外に排気するための設備が必要
  3. 空気の流れ→たばこの煙が開口部分を通って流出しないように、喫煙禁止区域から喫煙区域へ毎秒0.2m以上の空気の流れが必要

これら3つの分煙基準を満たすことで、飲食店内にも喫煙スペースを設けることができます。

なお、仕切りにはたばこの煙を通さない構造や材質のものを使用すればOKです。垂れ壁や袖壁、パーティションはもちろんのこと、ふすまや暖簾、エアーカーテンでも代用することができます。

喫煙エリアの面積には注意しよう

喫煙禁止区域の面積は、共同利用区域(廊下、トイレ等)および調理場等を除く店舗面積の1/2以上にするよう定められています。

喫煙スペースが全体の面積の1/2以上を占めることはできないので注意しましょう。

分煙エリアの排気と風の向き

先ほどの分煙基準でも紹介したように、分煙化するためには禁煙エリアから喫煙エリアへ0.2m/s以上の空気の流れが必要です。

この基準を満たすためには、喫煙スペース内に排気設備が必要となりますが、喫煙スペースの面積や開口部分の大きさによって、必要な排気設備も変わってきます。

ここでは「禁煙エリアから喫煙エリアへの風が0.2m/s以上」という基準を満たすために必要な排気風量の計算方法を解説します。

分煙基準に適する排気風量の計算方法

毎秒0.2m以上の空気の流れは、喫煙区域において、開口面積1㎡ごとに毎時720㎡以上の排気風量があれば生じる計算となります。これをもとに、以下の計算方法で排気風量を求めることができます。

・排気風量(㎥/h)=毎秒0.2m×開口面積(㎡)×60秒×60分

喫煙スペースの開口面積(出入口等の大きさ)を上記の計算式に当てはめることで、分煙基準を満たすために必要な排気風量が分かります。

大人1人が出入り可能な喫煙スペースの排気風量

具体例として、喫煙スペースの出入口(開口部分)が

  • 幅0.85m
  • 高さ2.0m

の大きさで計算してみましょう。イメージでいうと、成人男性1人が出入りできるような広さの出入口をもつ喫煙スペースの場合です。

排気風量(㎥/h)=毎秒0.2m×開口面積(0.85×2.0 ㎡)×60秒×60分=1224㎥/h

このように幅0.85m・高さ2.0mの出入口がある喫煙スペースでは、1224㎥/hの排気風量が必要ということが分かります。

こうして必要な排気風量が分かれば、どのような排気設備を設置すればいいのかも分かるので、今後の分煙対策計画も立てやすくなります。

分煙時に注意すべき3つの法律

受動喫煙防止条例等をクリアするために分煙化しても、仕切りを設置することでその他の法律に違反してしまっては元も子もありません。分煙時には以下の3つの法律にも注意しておきましょう。

分煙時に注意すべきポイント1:消防法

喫煙区域と禁煙区域を仕切ることで消防法に違反してしまう場合は、新たに設備の増設が必要となります。

①自動火災報知設備
天井面が仕切られ、既存の感知器が熱や煙を適正に検知できなくなる場合は、感知器の増設が必要です。

②スプリンクラー設備
仕切りの設置により、既存のスプリンクラーヘッドからの散水が届かなくなる場所ができる場合は増設が必要です。

③非常警報設備
スピーカーからの音が聞こえにくくなる場合は、増設が必要です。

④誘導灯
既存の誘導灯が見通せなくなる場合は増設が必要です。

⑤消化器
既存の消化器までの到達距離が長くなる場合は増設が必要です。

こうした消防設備の設置については、飲食店ごとの状況によって変化するので、必ず消防整備士や所轄の消防署に相談しましょう。

分煙時に注意すべきポイント2:建築基準法

喫煙区域と禁煙区域を仕切ることで、建築基準法に抵触するケースもあります。違反しないためにこちらも確認しておきましょう。

①排煙設備
区画したそれぞれの居室に排煙上有効な窓(有効部分の面積が居室の床面積の50分の1以上)を確保できない場合は、原則として排煙設備の設置が必要です。

②換気設備
区画したそれぞれの居室が、その床面積に対して20分の1以上の面積を有する窓等を確保できない場合は、換気設備の設置が必要です。

③非常用の照明装置
建築基準法に則り、非常用の照明装置の設置や増設が必要になる場合があります。

④内装制限
建築物の構造・規模用途によっては、仕切りや壁、天井の仕上げを不燃材料等にする必要があります。

こうした建築基準法上の設備の設置については、自己判断で行わず、建築士や所轄の建築審査窓口に相談するようにしましょう。

分煙時に注意すべきポイント3:風営法

風営法が適用される飲食店では、仕切りの設置場所や、仕切りにより床面積が変化することで、風営法に違反するケースも出てくるので注意が必要です。

深夜0時以降に営業する飲食店では、仕切りの設置により客室が2室以上になる場合、1室の床面積は9.5㎡以上必要となります。また、客室内部の見通しを妨げる仕切りやついたて(高さがおおむね1m以上のもの)は設けられません。

深夜飲食店でおもに酒類を提供する飲食店においては、分煙化にともなって客室数や各居室の床面積を変更する際には、県公安委員会に届け出る必要があるので注意しておきましょう。

飲食店の分煙は専門家の力を借りよう

2020年4月から施行される改正健康増進法により、多くの飲食店では分煙を余儀なくされます。

ところが、その分煙も単純に喫煙スペースと禁煙スペースを分ければいいという話ではなく、分煙基準や消防法などを満たすように分煙しなくてはなりません。

飲食店事業者の方が自己判断で分煙対策を進めるのはあまりにリスクが大きいため、専門家の力を借りて、正しく分煙対策を進めていきましょう。

どのように分煙対策をすればいいのか分からないという飲食店事業者の方は、お気軽に分煙対策くん相談まどくちまでご相談ください。

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